養老孟司先生

 代表の岡本さんは、とてもさわやかで、気持ちのいい人です。お会いすると、暑苦しい世間に涼風が吹き過ぎて行く、そんな感じがします。
初めてお会いしたのは、どこかの喫煙所です。少年院に著書を寄贈することを頼まれました。その後、あれこれ、お世話にもなりますが、お会いするたびに元気が出ます。体を張って仕事をする人には、オフィスに籠って仕事をする人と、まったく違う雰囲気があります。私はその雰囲気がとても好きなのです。子どもの時を思い出してください。現場で働いている人たちを、ポカンとみていた記憶がありませんか。「よいと巻け」の歌をご存じありませんか。
児童養護施設や少年院、刑務所などを出た人たちの受け皿を用意したい。岡本さんはそう考えて、ずっと活動して来られたそうです。こうした人たちの「理解」はむずかしいと思います。この「理解」は頭ではなく、体だと私は思います。オフィス暮らしの人が増えた時代に、岡本さんのような人がこうした活動をすることは、ある意味、とてもよく理解できます。だから私も、及ばずながら、できることをしたいと思っています。
人を単に頭ではなく、体で実感として理解すること、それを私は岡本さんに見ているのだと思います。

藤木幸夫先生

横浜には日本水上学園という児童養護施設があります。名前も含めてその由来には特徴がありました。
かつて貨物船は沖止まりで、ポンポン船に引かれた「はしけ船」と呼ばれる船が荷物を取りに行っていました。その「はしけ船」は作業場と住居を兼ねていました。東京湾内の各港に荷物を取りに行くため、波止場に何日も帰ってこれない日が続きます。そうすると「はしけ船」に暮らす子どもは学校に通えなくなります。そこで、そうした子どもたちを「水上学園」が受け入れて世話をしたそうです。
けれども、今では施設で受け入れている子どもたちも様変わりしてきたと聞いています。ほかの児童養護施設と同様、虐待による子どもがほとんどで、その親はギャンブルや貧困、障がいといった様々な理由で子育てを放棄してしまっているそうです。
また、横浜には刑務所があります。昔は行くあてのない出所者に仕事や住まいをあてがった親方気質の職人がたくさんいました。けれども、今では世知辛い世の中になってしまって、なかなか肩身の狭い思いをさせてしまっているかもしれません。やったことは悪いこと、だけれど「罪を憎んで人を憎まず」です。彼らの再出発を応援できる文化と体制が必要です。
虐待防止も再犯防止も、根っこは同じです。家族がダメなら、社会がきちんと面倒見れるようになること。そのためには行政も民間もありません。官民の垣根を超えて頑張るNPO法人なんとかなるの取り組みを、これからも私は応援していきます。